日本橋高島屋

  • 概要

1933年に竣工した日本橋高島屋は、日本で初めて空調設備を備えた商業施設としても知られています。それから約30年の間に建築家村野東吾によって何度か増築を繰り返してきました。村野氏による増築部分の一部はガラスブロックで構成され、複数の時代を経た建物であることが強調されています。
21世紀に入ってから周辺街区における再開発計画が進行し、高島屋を含めた大規模な市街地再開発事業として工事が行われました。工事は2019年に完了し、広大なガレリア空間や日本橋に新たな彩りを添える店舗が加わりました。

  • 研究対象として

事業が始まる以前から本建物は重要文化財にふさわしいと考えられていましたが、指定されると内装の変更やリニューアルといった現状変更が著しく困難になる事から、高島屋側は建て替えを希望していました。これに対し、周辺で再開発を計画していた開発事業者、設計企業は、新築ビルの低層部に高島屋の店舗を拡大する形を提案、保存される高島屋本館を含めた第一種市街地再開発事業となりました。
本事業のエリアは都市再生特別地区に指定されたため、高島屋の保存という公共貢献から大幅に容積率が緩和されました。日本橋高島屋自身も2009年に重要文化財に指定されています。
保存と開発を両立させた中でも、複数の事業者の利害関係をうまく調整した事例として研究対象としています。

  • キーワード

都市再生特別地区
現状変更
村野東吾