三井本館

  • 概要

1929年に竣工した三井不動産の本社ビルです。長い間三井不動産、日本橋のシンボルとなってきましたが、本社ビルを建て替える際解体の危機にさらされてしまいます。これを解決するため、本館を保存することで街区全体の公共貢献を認め、新築ビルの高さ(容積)を上増しする手法がとられました。これにより本館の保存と、新たに建設された日本橋三井タワーの高層化が実現しました。1998年には重要文化財に指定され、日本橋の歴史ある景観形成に寄与しています。

  • 研究対象として

本館を保存することで新築ビルの高層化を実現するにあたり、「重要文化財特別型特定街区制度」が適用されました。当時歴史的建造物と都市計画制度を結び付けた例はほとんどなく、日本における保存と開発を両立した先進的な事例となりました。この制度は明治生命館にも用いられています。
新築の日本橋三井タワーは、周辺の既存建物の高さ(百尺≒約31m)に調和する意匠となっていることも大きな特徴です。制度やデザインといった様々な側面から本事例を分析し、後世に残すための最適な手法を探っています。

  • キーワード

重要文化財特別型特定街区制度
百尺規定
明治生命館