JR東京駅

  • 概要

1914年、辰野金吾の設計により完成した日本の中心駅です。1945年、空襲の被害を受け3階部分を焼失してしまいますが、応急工事によって駅としての機能を保持していました。そのまま半世紀が経ち、当時の石原都知事によって東京駅の復原が決定します。重要文化財に指定されたのち、2012年に5年間の工事を終え、竣工当時の姿を取り戻しました。
復原工事にあたってはJRの社内委員会に国内の専門家が集結し、意匠、構造、交通といった様々な分野から検討が行われました。中でも当時の姿を忠実に再現する「オーセンティシティ(真実性)」は最重要課題とされ、詳細なデザイン基本方針が定められました。
各時代の技巧を生かしながら、利用者の利便性と安全性を高いレベルで確保しています。今度訪れた際には、駅内外をよく観察してみてください。

  • 研究対象として

東京駅の復原には500億円にも上る工事費が必要でした。東京駅は他の駅と異なり「駅ビル」がないため、テナントから得られる収益では工事費を捻出できません。そこで用いられたのが新設の「特例容積率適用地区制度」でした。東京駅上空にある未利用の容積を周辺のビルに売却することで、工事費を確保しました。周辺のビルも買い取った容積でさらに高層化できるため、東京駅と周辺事業者の両者に高い価値がもたらされました。
この手法は東京駅が位置する大丸有地区以外では適用された例がありません。三井本館や日本橋高島屋といった事例と比較しながら、歴史的建造物の保存と開発行為を両立させる道を探っています。

  • キーワード

復原
オーセンティシティ
特例容積率